高齢者の交通事故
高齢者が被害者となる交通事故の特徴
交通事故による死者のうち65歳以上の高齢者が占める割合は年々高くなる傾向にあります。
損害における特徴
休業損害
高齢者の場合、違いが生じるのは、家事従事者、すなわち、性別を問わず、現に家族のために家事労働に従事する方の場合です。
一般の家事従事者の場合、収入額は、女性労働者の全年齢平均賃金をもとに算定されます。
ただし、高齢の家事従事者の場合には、年齢別平均賃金(より金額が低い)が用いられる傾向にあります。
さらに、かなりの高齢者になると、身体状況や家族との生活状況を考慮して、減額した額を基礎収入とする例もあります。
男性の家事従事者についても、収入額は、女性労働者の平均賃金を参照して認定されることが多くなっています。
家事従事者が給与収入や事業収入も得ておられる場合、家事従事者として認定される収入額以上の収入を得ていれば、実収入額をもとに算定します。
ただし、パートタイマーのように家事従事者として認定される収入以下の賃金の場合には、家事従事者の場合と同様に算定します。
年金で生計を立てている方の場合は、休業損害は生じません。
後遺症による逸失利益
一般に、次のような計算式で逸失利益が算出されます。
勤務先に定年制があり、現実の給与額が比較的高い水準である場合には、定年までは現実収入をもとに算定し、その後については、年齢別平均賃金(より金額が低い)や定年時点の収入を減額した額をもとに算定することが多くなっています。
家事従事者の場合、算定のもととなる収入額は、休業損害の場合と同様に考えます。
家事従事者が給与収入や事業収入も得ておられる場合、算定のもととなる収入額は、休業損害の場合と同様に考えます。
労働能力喪失期間を決めるにあたって、一般には、就労可能年限は通常は67歳(職種、地位、健康状態、能力などによってはこれ以上になる場合もあります。)とされていますが、高齢者の場合は、67歳までの年数と各年の簡易生命表の平均余命年数の2分の1のいずれか長期の方とするのが基本です。
死亡による逸失利益
一般に、次のような計算式で逸失利益が算出されます。
勤務先に定年制がある場合で、現実の給与額が比較的高い水準である場合には、後遺症による逸失利益の場合と同様に減額されることが多くなっています。
家事従事者の場合の算定のもとになる収入額は休業損害の場合と同様に考えます。
国民年金、厚生年金等の老齢年金、障害年金など、被害者側が保険料を拠出していた年金の年金受給者や受給資格を有し受給年齢に近い方については逸失利益が認められます。年金受給者や受給資格を有し、年金が唯一の収入である方の逸失利益を算定する場合には、高齢者でない方よりもやや高い割合の生活費控除率が認定される傾向にあります。
就労可能年数を決めるにあたって、一般には、就労可能年限は通常は67歳(職種、地位、健康状態、能力などによってはこれ以上になる場合もあります。)とされていますが、高齢者の場合は、67歳までの年数と各年の簡易生命表の平均余命年数の2分の1のいずれか長期の方とするのが基本です。
過失相殺
被害者が高齢者である場合、事故態様に絡んで、過失相殺について争いが起こることがあります。
正しい事故態様を証明するため、速やかに怪我の診断書を警察に提出して、人身事故扱いにしてもらい、適正な実況見分を行ってもらうことなどが必要になります。
対策
正当な治療と正当な賠償額を得る確率を上げるためには、事故直後からの備えが大切です。
福島県で交通事故に遭われた場合、まずは、事故直後からの弁護士への無料法律相談という選択肢もあることをご留意いただき、正当な治療と正当な補償を得ていただきたいと考えます。